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筆者が所属する「佐賀医学史研究会」から、江戸幕末期~明治期の佐賀県出身の医人(医師)120余人を網羅した『佐賀医人伝』(初版A5版263頁:佐賀医学史研究会編著:1500円+税:佐賀新聞社発行)の出版に続き、平成30年10月に、第2版(A5版301頁:1500円+税:佐賀新聞社発行)が出版されました。 本書の出版に対して、幕末維新期の佐賀の医学史研究について、全国で初めて全県的な医人を網羅した本書が、学術・文化的発展に貢献した理由により、平成29年11月に栄誉ある「佐賀新聞文化奨励賞」を受賞し、本会会員及び執筆者一同の大きな喜びと励みとなりました。 筆者が所属する「佐賀医学史研究会」が、創設10周年事業として出版され、また「明治維新150年」の記念すべき年に出版されたことで、重ねて名誉である出版となりました。初版の販売が好調であったため、平成30年10月に第2版が出版されました。 第2版は、新たな医人14名を追加し、初版と合わせて合計140人も集大成した文献となりました。巻末に「人名索引」を収録し、読者の便利性と効率的な利用となりました。よってページ数も増えて301ページです。 第2版で新規に追加した14医人は、①飯盛挺造・②大坪佑二・③遠藤竹之介・⑤鹿毛良鼎・⑥川原謙吾・⑦重松祐二・⑧進藤寛策・⑨高島熊吉・⑩鶴田禎次郎・⑪谷口藍田・⑫武富文益・⑬三宅省陰・⑭宮﨑養策の14名です。 筆者は、飯盛挺造(医学を志した我が国物理学の泰斗、微量天びんの先駆者)を執筆しました。 初版の内容について、下記の通り記述します。 会員の中には、自己の研究対象で有り執筆する医人の史料調査のため、自費で札幌・京都・東京・長崎などへ取材し史跡・墓所などを調査して、熱心な取り組みを行いました。相良元貞が、明治3年から「明治政府派遣第1回ドイツ留学生」の一員として、医学留学したドイツでの足跡を追跡調査するため、筆書は、平成26年(2014)にドイツへの視察調査の度を敢行し、その調査成果を本書に記述しています。 これまで佐賀出身で全国的に著名な医人(伊東玄朴・相良知安・佐野常民など)の単行本は多数出版されています。しかし県単位で医師を、横断的に網羅した略伝の出版は、過去に全国的にも例がなく、幕末・明治期の佐賀県の医師をこの一冊で検索できるので、医学先進地であった当時の佐賀県の貴重な医学基本文献であります。 |
「明治維新150年」を迎える平成30年に向かって、佐賀県は現在、「明治維新150年」記念事業を推進しています。本書の発行で記念事業に連携出来るので嬉しく思います。 佐賀藩主鍋島直正公の医学分野での業績として、①藩医学校「好生館」創設と西洋医学教育の必修義務化、②藩「医業免札姓名簿」による開業医免許試験制度の創設は、我が国で最初の医師免許試験制度となった、③種痘(「牛痘種法」)を全国で最初に成功し、藩内の領民に藩費で接種した、④藩士らを、長崎・江戸・大阪へ積極的に、医学稽古(留学)させ、多くの医人を育成した等が挙げられます。全国に先駆けて西洋医学を採用した佐賀藩の成果でした。 長崎出島に来日したオランダ人軍医のポンペやボードインらから、蘭医学を学んだ多くの郷土の蘭方医らは、最新の西洋医学であった蘭医学を佐賀から広めて行きました。 明治初期の好生館に、お雇い医学教師として赴任したヨングハンスやデーニッツ及びスローンらは、当初アメリカ医学を講義し、デーニッツやシモンズは明治新政府が導入したドイツ医学を講義しました。佐賀と関係が深い以上の外国人医師も掲載しています。 また本書には、吉岡弥生(唐津市出身の夫で医師の吉岡荒太と共に、現在の東京女子医大を創立した医師)、緒方トキ(佐賀県最初の開業試験合格女医)、大橋リュフ(太良町出身女医で、晩年に故郷へ篤志し「大橋記念図書館」と名付けられた)などの女医が登場しますので、興味が尽きません。 佐賀新聞社本社及び県内各書店(全国の書店では注文取り寄せ)により販売中です。是非ご一読頂ければ幸いです。またアマゾンでも、通販取扱が出来るようになりました。 |
※『佐賀医人伝』(第2版:佐賀医学史研究会編著:平成30年10月:佐賀新聞社発行)
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